京都障害者スポーツ振興会の事務局長を務め、障がい者スポーツの普及や運営に貢献。その中でボディケアの大切さを痛感。自身もフルマラソンに出場し、日々トレーニングとケアを続ける。退職後は『麺屋とも』を開店。バリアフリーの店内とヘルシーな味わいで有名。

今はラーメン屋をやっていますが、もともとは大学の社会福祉学科を卒業し、社会人になってからも福祉の仕事に関わってきました。その後、定年退職をするまでの28年間、「京都障害者スポーツ振興会」という団体で、障がいのある子どもから高齢者を対象にしたスポーツ活動の支援を行ってきたんです。障がいのある方にもスポーツの楽しさを知ってもらい、外に出て、毎日を楽しんでもらうことが大きな目的です。主に「全国障害者スポーツ大会」に出場する京都選手団の全体サポートや、京都市内で開催している「全国車いす駅伝競走大会」では第1回開催から第28回開催までの運営を担当させていただきました。その他にも、ボランティアや指導員の養成を通じて障がい者スポーツを広める活動も積極的に行ってきました。

大会を企画・運営する中で一番苦労したのは、陸上や水泳、卓球などそれぞれ専門の競技協会や団体のみなさんにご協力をお願いし、障がいがある方も参加できる大会の開催に向けて運営体制を作っていくところですね。
障がい者スポーツの普及活動を28年間担当。活性化への取り組みが認められ「厚生労働大臣表彰」を受賞。本当に時間がかかりました。今でこそスムーズに開催されていますが、障がい者スポーツの認知が低かった時代は大変でしたね。それぞれの競技協会とやりとりをし、ひとつひとつ関係を築いていきました。現在のように正式な協会・組織に協力してもらうことは、障がい者スポーツの活性化はもちろん、多くの方に知ってもらい、理解が進むきっかけにもなるんです。

61歳で退職した後、京都市左京区の元田中に『麺屋とも』というラーメン屋を開きました。大学進学時に一旦はあきらめたのですが、料理人になるのが子どもの頃からの夢だったんです。なぜラーメン屋かというと、職場が京都でも有名なラーメン街道と呼ばれる一乗寺にあったことが大きな理由ですね。昼ごはんによくラーメンを食べていて、その中で「自分ならこんな味にしたいな」という想いが募り、研究を重ねるようになったんです。その研究をもとにして、職場の夏祭りやクリスマスパーティーの模擬店でラーメン屋を出店したところ大好評をいただいたんですよ。お客さんが列をなして食べに来てくれたことが自分の中で自信になって「これは店を開いても通用するぞ！」と思ったんです。

開業にあたってはたくさんの物件をあたりました。前職の経験もあり、障がいのある方にも気兼ねなく来てほしいという思いがあったので、店内はバリアフリーにしたいと強く思っていたんです。なので、車いすでは入りにくい階段などがある物件は避けようと考えていました。そんな時に見学させてもらったのが、いまお店をやっている京都市左京区田中里ノ内町の物件。ここなら車いすの方や視覚障がいのある方でも気軽に来店してもらえると思い、開業を決めました。

店舗内はもちろん、味にもこだわっています。「誰でも食べられるヘルシーな味」を目指してラーメン作りをしているんです。世間の中には、ラーメンに対して様々なイメージを持たれていると思うんですよね。それならば毎日でも食べられる様なものを作りたいと思ったのがその理由です。スポーツをされている方や、体重を気にされる方でも安心して食べてもらいたいと思い、脂分が少なく、低カロリー・高タンパク質で、味噌汁感覚で食べられるラーメンを開発しました。
バリアフリーにこだわった店内。階段はなく、車いすでも移動しやすい。低カロリーだけどしっかりした味があり、素材の味を引き出せるラーメンです。スープを作る水も上質なものがいいと思い、ファイテンの「アクアミルムG」を使って研究したこともあります。以前、関西のローカルテレビ番組に出演し、高級食材を使って塩ラーメンを作るという企画を行った時にも使わせてもらいました。なめらかな口当たりで素材の味を邪魔しないということで、大変好評をいただいたんですよ。

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