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マラソン後半に失速しないためのエネルギー温存方法とは

ランナーが後半失速するのは持久力不足が原因のことが多いです。ランナーが気になる「持久力」を高めるにはエネルギー源である糖質(グリコーゲン)や脂質の代謝が重要です。

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そこで前回は、筋肉に蓄えられる糖の一種である筋グリコーゲンを増やすことが持久力に繋がるというお話をしました。しかし、エネルギー源は糖質だけではなく、脂質もあります。今回は脂質を上手く使い、糖質を後半まで持ち越すことで持久力を伸ばすというお話です。

前回記事「【ランナー必見】サブ3、サブ3.5へのカギ!持久力を高めるポイントをご紹介!」はこちらから >

脂質とは

脂質は肥満に繋がると避けられがちですが、カラダにとって必要不可欠な栄養素です。脂質は細胞膜やホルモンを作ったり、体温維持や内臓の保護等に役立っています。

ランナーで痩せることがタイムUPに繋がると思っている方もいますが、体脂肪量を落としすぎるとホルモンバランスが崩れたり、体温維持等の障害が起こりやすくなるので注意が必要です。

エネルギー源

糖質は代謝されやすく、筋肉に蓄える量も多くはありません。それに対し、脂質はカラダに多く蓄えられてはいるものの、燃焼してエネルギー源として使われるためには時間がかかります。

糖質は1gあたり4kcalに対し、脂質は1gあたり9kcalのエネルギーを作りだします。つまり、脂質は糖質の2倍以上のエネルギー源ということになります。高いエネルギー源である脂質から先に利用することで、糖質を温存し持久力を上げることができます。また、脂質を利用することで、体脂肪の蓄積を防いで肥満を予防することができます。

その為には、脂質を上手く利用することが大事です。脂質を利用する為に、空腹時にランニングし、体脂肪を燃焼させようとする人もいますが、低血糖や筋肉分解等のリスクが伴うので注意が必要です。特に朝は空腹度合いがひどいので、朝ランニングされる方は少し食事を摂ってから走るようにしましょう。また、ハードすぎるトレーニングはオーバートレーニングになりがちです。

そこで、ミトコンドリアを上手に使うことを提案します。

脂質がパフォーマンスを上げる

運動時に糖質をエネルギー源にする場合、乳酸が作られることで、筋肉の酸性度が高まり、筋肉の収縮を損なう可能性があります。

一方、脂質をエネルギー源にすると、酸素を利用することとなり、大きなエネルギーを継続的に得ることができます。つまり、糖質より脂質を優先的に使う方が筋肉が酸性化せず、パフォーマンスを上げやすくなります。

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また、脂質をエネルギー源とする運動は毎日続けることで体脂肪を効率よく分解してくれます。したがって、骨格筋の脂質利用率が上がると、有酸素持久力の向上と肥満解消の両方にプラスの影響を与えてくれることになります。

糖質より脂質を使うには

エネルギーをより効率的に作り出す為に、脂質を少しでも多く使えるようにするには、運動強度を上げすぎないことが重要です。運動強度が高くなりすぎると、脂質の利用を妨げて糖質を優先的に消費しやすくなります。また、脂質や糖質を代謝してエネルギーに変換するには、ミトコンドリアの働きが重要です。

ミトコンドリアとは

脂質がエネルギーとして利用されるにはミトコンドリアで酸素を利用する必要があります。今回は、エネルギー産生工場であるミトコンドリアについてお話ししますので、参考にしてください。

ミトコンドリアは人の細胞に存在し、糖質や脂質を代謝し、ATPというエネルギーを作り出す「エネルギー産生工場」です。つまり、ミトコンドリアが多ければ多いほど、より多くのエネルギーが産生され、筋肉も疲れにくくなります。

この時、糖質を優先的に消費していくと、糖がなくなり、マラソン後半でエネルギー不足に陥り、パフォーマンスが低下します。よって、エネルギー不足にならない為には脂質から使い、後半に糖質を残しておく必要があります。

ミトコンドリアを増やすには

ミトコンドリアは運動で増え、運動しないと減ります。 ミトコンドリアを増やすには、マラソンのような高強度の有酸素運動が効果的です。短時間でも高強度な運動でミトコンドリアは増えますが、少しきつい程度で長く走ることで効率よくミトコンドリアを増やすことができます。

ミトコンドリアが増えると、エネルギーを産み出し、速いペースで走ることができます。高強度※が難しい場合は、低強度の負荷のかからないランニング程度でも時間を延ばすことで効果が得られます。これにより、ミトコンドリアが増え、長く走ることができます。
筋肉のミトコンドリアが増えると、脂質を利用しやすくなり、エネルギーを後半まで持ち越しやすくなります。
練習でミトコンドリアを増やし、レース時にエネルギーを発揮することがポイントです。

※高強度とは、ややキツイと感じる以上、低強度は並走して人と会話できる程度の楽なペースを表します。

ミトコンドリアによる活性酸素の発生

運動中、エネルギーが使われると、それに伴い骨格筋のミトコンドリアで活性酸素が発生します。運動中の活性酸素の増加は、筋肉のエネルギー利用に影響し、脂質代謝を抑制する方向に働きます。

活性酸素は少量であれば、病原体を退治したり、活躍してくれますが、必要以上に多くなると、カラダにとっては悪影響です。

運動時に脂質が使われやすくするために、発生した活性酸素を除去する必要があります。そこで抗酸化物質を取り入れることで活性酸素を取り除き、脂質を上手く使うようにすることがポイントです。

ミトコンドリア内のシトクロムc

ミトコンドリアではエネルギー源であるATPが作られます。ミトコンドリア内にあるシトクロムcはミトコンドリアの量を表す指標となるもので、エネルギーを生み出すたんぱく質です。このシトクロムcが機能しなくなると、ミトコンドリア内でエネルギー源であるATPが作られなくなります。


引用:Aoi W., et al, jcbn. 13-110を改変

このグラフは、通常食/アスタキサンチン摂取によるシトクロムcの比率を見たグラフです。シトクロムcはミトコンドリアの量を表す指標となるものです。通常食に比べ、アスタキサンチン摂取では、約1.5倍にミトコンドリアが増えていることがこのグラフから分かります。

つまり、アスタキサンチンはミトコンドリアを増やし、エネルギーを効率よく作り出すのです。アスタキサンチンの摂取により、活性酸素を除去し、脂質を上手く使い、エネルギーの持続が期待できることになります。

抗酸化物質

食品中の抗酸化物質には、ビタミンEやβカロテン、ポリフェノール等があります。中でもアスタキサンチンは鮭や藻に含まれる天然のカロテノイドの一種で、強力な抗酸化作用をもつ素材です。

長時間の運動による筋肉へのダメージを軽減し、DNAや脂質が活性酸素により酸化されないように働いてくれます。アスタキサンチンは筋肉の質を変化させ、骨格筋の代謝を調節することで運動時の筋肉の脂質代謝を改善します。

アスタキサンチンで持久力向上


引用:Aoi W., et al, BBRC, 366(2008)892-897を改変

このグラフは、通常食とアスタキサンチンを摂取したマウスを疲労困憊まで走行させた時間を比較しています。通常食を摂取したマウスは50分のランニング時間ですが、アスタキサンチン摂取のマウスは70分まで走行時間が伸び、アスタキサンチンの摂取により走行運動における全身持久力が向上していることが示されました。

つまり、アスタキサンチンは運動中の脂質利用を増やし、疲労困憊までのランニング時間を延長させています。このことは、脂質利用を高め、体脂肪の減少に繋がります。

アスタキサンチンは半日後に体内濃度がピークになるので、午後の試合なら朝に飲むのがベストです。

アスタキサンチン+αで、より効率的に


引用:Aoi W., et al, Antioxidants,2021, 10,113. を改変

このグラフはレジスタンストレーニング(筋肉に負荷をかける動きを繰り返し行う運動)において、トレーニング前後の左右のMVC(最大随意筋力(意識的に自力で発揮する最大の力))の平均変化量を比較したものです。

通常食に比べ、複合食(アスタキサンチン(例:鮭)、β―カロテン(例:野菜ジュース)、レスベラトロール(例:リンゴンベリージャム、ブドウ等))を摂取した方が脚力がUPしました。また、この複合摂取は少量であっても筋肉を大きくすることが分かっており、アスタキサンチン単独より効果があるとされています。

脂質を上手く使い、後半の持久力をカバーし、パフォーマンスUPできるよう意識しましょう!

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