プロ野球選手をはじめ、プロアスリートが会員の約7割を占めるパーソナルトレーニングジム「ダイフクマッスルプロジェクト」。壁に向かってボールを投げられるコンクリートの空間、棚にずらりと並ぶ現役選手のグローブ、そしてガラスケースに収められたバット――。ここは、選手が誰の目も気にせず自分と向き合える"隠れ家"です。主宰する安野トレーナーに、ジムづくりへの想いとこれからの夢を伺いました。
「ダイフク」の名前に込めた、"福を届ける"という想い
―まず、"ダイフク"というジム名の由来を教えてください。
「仲良く遊んでくれているポメラニアンの"だいふく"という犬がいるんですけど(笑)、大福って、名前的にも"大きい福"じゃないですか。アスリートをサポートしていきたいと考えたときに、選手にたくさんの福がありますように、という意味を込めました。アスリートのマネジメントを行う『ダイフク』という会社があって、そことタッグを組んで、より福をアスリートに届けていくプロジェクトにしたい。そのトレーニングサポートを担うのが『ダイフクマッスルプロジェクト』です」
「これを仕事にできないかな」―トレーナーへの道
―トレーナーを志したきっかけは。
「小学1年生から高校3年生まで野球をやっていました。もっと頑張れば先はあったのかもしれませんが、プロになるのは厳しいなと実感していて。その一方で、同級生や後輩から『自分のフォーム、どうなっていますか』とよく聞かれたんです。『こうなっているから、もう少しこれを意識したらいいんじゃないか』とアドバイスして、結果が出る子もいて。これを仕事にできないのかな、と思ったんですよね。人に教えたりコーチングしたりすることが自分は好きなんだな、と」
―大学では何を学ばれたのですか。
「はじめはアスレティックトレーナーの勉強をしていたんですが、もっとパフォーマンスに直結することがしたいと思うようになって。大学3年生のときに、アメリカで学ばれたパフォーマンスコーチの方のセミナーに参加させていただいたんです。ジャンプのトレーニングとか、フィジカルの高め方とか、"こういう仕事があるんだ、パフォーマンスコーチって言うんだ"と知って、一気にその道を目指しました」
―学生時代から現場に出られていたそうですね。
「勉強するうちに、"大人になってからでは遅いこともあるな"と思うようになって。自分は野球しかやってこなかったので、子どものうちにできる土台づくりって何だろう、と。それで子どもの運動を教える教室に関わらせていただきました。大学の硬式野球部でパフォーマンストレーニングの指導もしていて、大学4年生の頃からは、これまで関わってきた野球選手から『一緒にやろうよ』と声をかけてもらうようにもなって。選手のパーソナル指導と子どもの運動教室を並行しながらやっていました」
―指導者としての原点のようなものはありますか。
「小学6年生のときに出会ったコーチですね。当時は怒鳴るだけの指導者もいらっしゃって、"なんでこんなに怒るんだろう"と思っていたんです。言い方を変えればもっとうまくできるのに、と。そんな中である1人のコーチに出会えたおかげで、めちゃくちゃ野球が上手くなったという自信がありました。そのおかげで中学、高校へと進めたと思っています。自分もそういう指導をしたい。"ここに来れば元気がもらえる"と思ってもらえる存在でありたいですね」
―独立されるまでの経緯も教えてください。
「子どもたちを見て経験を積むうちに、トップ層の選手も見ていきたいと思うようになりました。ちょうどメジャーリーグで長く活動されていたトレーナーの方が独立されると聞いて、"ぜひ一緒に働きたいです"とお伝えしたら、"じゃあ一緒にやろうよ"と。そこでは野球はもちろん、サッカー、格闘技、ボートなど本当にいろいろな競技の方が来られていましたし、一般の方も担当させていただきました。地方に出向いて、運動教室のない地域の子どもたちに教える機会もいただいて。そうやって4年間、トップ層も一般の方も見る経験をさせてもらいました」
―そして、ご自身のジムを構えられました。
「会社に所属していると、当然その方針があります。ありがたい環境でしたが、自分で決めて、自分でやりたいなという想いがありました。まだまだ小さなジムですけど、ここからいろんな人に福を届ける活動をしていきたいですね」
選手一人のためにつくった、プロ仕様の"隠れ家"空間
―ジムの特徴はどこにありますか。
「一番はプライベート空間です。基本は1対1のパーソナル、お知り合いと一緒なら1対2のセミパーソナル。スポーツ選手って、見られたくない、その他大勢だと自分に注目してもらえていないんじゃないか、という不安があるんです。その人一人に費やせる空間であることが大事だと思っています。もう一つは壁。コンクリート製なので、ボールを投げたり打ち付けたりできる。壁に投げられる施設は少ないので、投球系・打撃系の選手にも来てもらいやすいんです。ウエイトトレーニングも含めて、ジムワークでやりたいことがこの一つの空間で完結します」
―競技動作にも踏み込んで指導されるそうですね。
「1対1なのでやれることが多くて、球速を上げたいときに『今このフェーズがうまくいっていないから、この局面を切り取ってドリルをやってみようか』ということもできます。バッティングも同じで、この局面のフィジカルが良くないから、そこを切り取ってトレーニングしよう、と。会員の7割ほどがプロのアスリート。大学生や、高校進学前に基礎的なフォームを覚えたい中学3年生も来てくれます」
―コンディショニング面のサポートは。
「年間契約の選手にはアプリで毎日のプログラムを届けています。スケジュール表をいただいて、『この日は遠征だからここでこの内容』『移動疲れがあるから体を動かす程度に』『本拠地なら設備があるから、刺激を入れてから試合に入ろう』といった形で調整しています。ストレングスとコンディショニング、その両面ですね」
棚に並ぶのは、現役プロのグローブとバット
ジムに入ってまず目を引くのが、壁面の棚にずらりと並んだグローブです。これらはすべて、現役のプロ野球選手が実際に使用していたもの。その下の棚には、スパイクやキャップ、そして「KAZUMA OKAMOTO」の名が入ったバッグ。まさに"プロの現場"がそのまま切り取られたような空間です。
レンガ調の壁に埋め込まれたガラスケースには、実際に使われたバットとバッティンググローブ、スパイクが展示されています。トップの選手が結果を出してきた道具が、日々トレーニングする選手の視界に入る。"自分もここへ行くんだ"と思わせてくれる、この上ないモチベーションの装置です。
棚に並ぶ現役プロ野球選手のグローブ。下段にはスパイクやキャップ、ファイテンのドリンクも並ぶ
壁面のショーケースに展示された、実際に使用されたバット・バッティンググローブ・スパイク
10年以上、同じ時間を歩んできた
―岡本和真選手との歩みについても教えてください。
「小学生の頃から試合で一緒になって、この人すごいなと思っていました。高校で同じチームになってからも『休みの日に泊まりに来いよ』とよくしてくれて。大学で自分が勉強しているときに『一緒にやろうよ』と声をかけてもらったんです。だから僕の指導キャリアは、彼のプロ人生とほぼ同じ長さ。10年以上のお付き合いになります。このジムも、彼の後押しで成り立っていると言っていいと思います」
「整えてから始める」をジムの中で完結させたい
―ジム内にはファイテン商品も設置されています。
「自分はパフォーマンスコーチなので、ケアの部分まではまだ十分にできていません。でも休息は選手のパフォーマンスにすごく影響します。だからセルフでケアできることがすごくいいなと思っていて。トレーニング前に来たら足裏から機器を使って、このルートで準備を整えてから始めよう、終わったらケアをして帰ろう。そんな流れをジムの中でつくりたいんです。エナジードライも気に入っていて、甘ったるくなくて飲みやすいので『パシッと仕事に入っていける』感覚があるんですよ。もっと売り出せばいいのに、と思っています(笑)」
なお、館内にはファイテン最高峰の施工技術「ナノメタックスコーティング」が施されています。カラダのリラックスとリカバリーをサポートする技術を空間そのものに取り入れることで、選手が集中し、整えられる環境づくりを進めています。
設置しているファイテン商品/セルフケアの様子
"ただのチーム"じゃない、街に貢献できる施設をつくりたい
―最後に、今後の展望を。
「この一年は、1対1で選手のパフォーマンスにどれだけ貢献できるかに熱量を注いできました。ただ、それだけではダメだなと。おこがましいですが、社会貢献をしていきたいんです。トップアスリートが昔どんなトレーニングをしていたか、という情報を子どもたちに届けたいので、小中学生向けのフィジカル教室もしていきたい。働く社会人の方も"人生のアスリート"ですから、姿勢の不良を改善するトレーニングを会社に出向いて行う、といった活動も考えています。あとは、自分自身カフェが好きなので、カフェとセルフケアが一緒にある空間をつくりたいんです。本を読みながらストレッチポールで整えられるような。さらに10年、15年先には、中学の野球チームをつくりたい。トレーニングや食事のサポートがあって、外の子も来られて、親御さんが子どもを預けられる場所もある。"ただのチーム"じゃない、街に貢献できる施設をつくるのが夢です」
選手一人と向き合う濃密な時間から、子どもたちや働く人たちへ。「福を届ける」という言葉のとおり、安野トレーナーの視線はジムの外にも広がっています。ファイテンは、ナノメタックスコーティングと商品を通じて、その挑戦をこれからも応援していきます。