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"洗う"を超えるクリーニング!リカバリー加工が拓く新時代

2025年2月よりクリーニングのエルゼグループにて、ファイテンのナノメタックスコーティングの取り扱いを開始。導入までの経緯、体感の声、期待することなどエルゼ様に聞いてみました。

【クリーニングのエルゼ 概要】

株式会社エルゼが運営するさまざまなニーズに応える多様なサービスを行っているクリーニングチェーン。
一般衣料のクリーニングのほか、着物、靴、バッグ、布団などのクリーニングや修理も手掛けており、水洗い、ドライクリーニング、特殊加工など、多様なサービスを提供しています。また、即日・翌日仕上げ(スピードクリーニングサービス)や、仕上がり日時の指定も可能で、お客様のニーズに合わせたサービスを提供している点が特徴。

株式会社エルゼ 平田寛一 社長

Tシャツで感じたリカバリー加工の効果と体験

きっかけは、ファイテンで販売するリカバリー加工Tシャツを試着したときの体験でした。その働きに驚きました。この「リカバリー加工(ナノメタックスコーティング)」は、衣服に特殊な加工を付加することで、リラックスの働きが付与される技術です。たとえば、筋肉の緊張を緩和したりする、いわば"着るケア"のような印象を持ちました。
実際に着用してみると、体が非常に軽く感じられ、姿勢の安定感も増した気がします。また普段、腰痛の予防や姿勢の保持のためにコルセットを装着している方には特に向いているのではないかと感じました。このTシャツだけで体が支えられているような感覚は新鮮であり、大きな驚きでした。加えて印象的だったのは、Tシャツを脱いだ後に「重だるさ」が戻ってきた瞬間で、それにより逆説的に加工の有用性を強く実感しました。
この体験は、いち担当者としてだけでなく、ユーザーの視点からその効果を再認識するきっかけとなり、「良いものを届けている」という確信にもつながったと思います。販売戦略やブランド価値の訴求だけでなく、機能面においてもしっかりと差別化が図れるサービスであるという手応えを得ましたね。

クリーニング業界の市場縮小と洗濯文化の変化

日本のクリーニング業界は、かつて1992年には約9,000億円という巨大な市場規模を誇っていましたが、現在では3分の1以下、約2,500億円前後にまで縮小しています。この背景として、ライフスタイルや家庭の設備環境の大きな変化が影響しています。
たとえば、家庭用洗濯機・乾燥機の高性能化により、多くの衣類が家庭で洗えるようになったことで、わざわざクリーニング店に出す必要が減りました。さらに、洗えるスーツやノンアイロンシャツといった「機能性衣料」の普及もあり、家庭内でのケアが当たり前になりつつあります。
一方で、洗濯の頻度そのものが減っているわけではなく、むしろコロナ禍以降、衛生意識の高まりから洗濯需要は増加傾向にあります。そのニーズを取り込んで成長しているのがコインランドリー業界で、1990年代から比較して市場規模は約100倍にまで拡大。家での乾燥が追いつかないケースや、花粉・PM2.5対策として布団などの大型洗濯物を処理するために利用されるなど、生活に根付いた存在になっています。
このように「洗う行為」はなくなっていないにも関わらず、プロのクリーニング業者にとっては厳しい状況が続いているのが現実です。今後の業界の持続可能性を考える上で、「洗う」ことそのものではなく「洗いに付加価値を与える」方向へのシフトが不可欠であると確信しました。

水洗い技術への転換と環境対応

従来のクリーニング業界では、衣類を溶剤で処理する「ドライクリーニング」が主流でした。これは油系の溶剤を使って、衣類の型崩れを防ぎながら汚れを落とす手法ですが、実は汗や皮脂といった"水に溶ける汚れ"にはあまり効果がありません。さらに、石油系溶剤特有のにおいや、アレルギー反応のリスクなど、人体や環境に与える影響も少なからず問題視されてきました。
こうした課題に対して、エルゼでは20年以上前から「水で洗う技術」=ウェットクリーニングに注目し、業界内でも先駆的に取り組んできました。水洗いは、皮脂や汗などの生活汚れをしっかり落とすことができ、洗い上がりの衣類も軽く、着心地がさらっとしているというメリットがあります。
しかし、水洗いは非常に高度な技術が求められる分野です。たとえば、衣類が縮んだりシワになったりしやすく、仕上げのアイロンがけにも高いスキルが必要とされます。そのため、一般的なクリーニング業者では敬遠されがちでしたが、エルゼでは独自の加工技術・仕上げノウハウを社内に蓄積し、他社との差別化を図っています。
また、この水洗い技術は環境面でも優れています。化学溶剤を使用しない分、排水への影響が少なく、持続可能な洗濯技術として、SDGsの観点からも注目されています。今後ますます高まる「環境への配慮」と「安全性」へのニーズに対して、この取り組みは大きな強みになると思います。

リカバリー加工の可能性と今後の方向性

エルゼは、従来の「洗ってキレイにする」という価値提供にとどまらず、「衣類に新たな機能や快適性を加える」という方向にビジネスモデルを転換させています。その代表例が、リカバリー加工(ナノメタックスコーティング)や冷感加工といった"後加工サービス"です。
たとえば、不快な静電気を抑え、花粉等の付着を軽減させる「花粉シールド加工」、真夏でも衣類内の温度を3度下げる冷感加工技術、さらには抗菌・防臭など、機能性の高い加工を施すことで、クリーニングの枠を超えた提案を可能にしています。
特にリカバリー加工は、「疲労軽減」「リラックス」「パフォーマンス向上」など、健康志向の高い消費者に大きく訴求できる領域です。現在、アパレル業界でもリカバリーウェアは注目されており、有名ブランドが次々と参入している中、エルゼは"後から加工できる"という点で他社との差別化が可能になりました。
さらに、こうした加工は新品の衣類に限らず、すでに消費者が持っている衣類にも対応可能であるため、「衣類の価値を再生・再定義する」という新たなビジネスモデルとしての魅力も持ちます。これは「モノを売る」から「機能を提供する」への大きなパラダイムシフトであり、エルゼはこれを企業の成長戦略の中核と位置づけています。
今後は、従来型の価格競争ではなく、消費者の生活価値を高める加工技術を武器に、提案型のサービスへと展開を強化していく方針です。こうした方向性は、成熟市場における差別化戦略としても非常に有効であり、業界全体の構造転換にもつながる可能性を秘めていると考えています。

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